控除について

pixta_12753023_L

所得税は皆さんの所得に課税されますが所得満額に課税されるわけではなくある一定の金額は課税対象からはずされます。この課税されない収入が所得控除です。
扶養家族も含めた国民全員に与えられた人的控除を所得から差し引いた後、定額控除(Standard Deduction)もしくは項目別控除(Itemized Deduction)のどちらか控除額の大きいほうを取り所得から差し引いた残りの金額が課税対象となります。

 

人的控除

納税者もしくはその扶養家族一人につき$4,000の控除

定額控除(Standard Deduction)

  • シングル :$6,300
  • ジョイント(夫婦合算):$12,600
  • セパレート(夫婦別算):$6,300
  • ヘッドオブハウスホールド(扶養家族のいる特別世帯主):$9,250
  • 未亡人(配偶者の死亡年はジョイント、その後2年有効):$12,600

項目別控除(Itemized Deduction)

以下が項目別控除例、合計が上記の定額控除を超える場合のみ有効です。

  • 寄付
  • 医療費
  • ギャンブルロス
  • サラリーマンのビジネス経費
  • プロパティータックスなどの税金
  • モゲージローンなどの利子
  • 災害、犯罪などに巻き込まれた場合の損失

ほとんどの場合モゲージローンを持っていないと定額控除のほうが有利です。

例)もしあなたが独身で年収が5万ドルの場合、課税される対象となる所得は
$50,000−人的控除$4,000−定額控除$6,300=$39,700となります。
もし、2015年度に$10,000のモゲージローンの利子を払っている場合は項目別控除$10,000>定額控除$6,300となるので
$50,000−人的控除$4,000−項目別控除$10,000=$36,000が課税対象となる所得になりより節税効果があります。

  • 上記以外の所得控除

上記の控除と違い当てはまる人しか控除されません。

1、IRA(Individual Retirement Arrangement)

Traditional IRAへの年間の拠出額のうち、一人最大$5,500(50才以上70 1/2歳未満の場合は最大$6,500)までが控除として認められています。401Kなどの退職年金プランに加入している場合はIRAの控除対象金額は減少します。

2、Moving Expense(引越し費用)

交通費、宿泊費、荷物の輸送代などの引越し費用が控除可能ですが、すべての引越し費用が控除可能なわけではなくまず仕事に関係した引越しであること、そして2つの条件を満たしていなければなりません。

  1. 距離
    新しい職場が現在の職場への距離プラス50マイル以上であること。
  2. 時間
    12ヶ月のうち39週以上働く(予定である)こと。

3、Student Loan Interest Deduction

本人、配偶者、扶養家族のための高等教育、専門学校などの授業料、寮費、食費、その他教育関連費用のための教育ローンの利子が対象となります。

4、Tuition and Fees Deduction

本人、配偶者、扶養家族のための高等教育、専門学校などの授業料が最大4,000ドルまで控除が可能です。Married Filing Separately(夫婦別申告)の場合は控除を申請できません。また、同じく教育費の節税対策であるHope CreditやLifetime Learning Creditとあわせて申請することはできません。

医療費控除について

1月1日から12月31日の間に払った医療費については収入から課税対象として除く控除が受けられます。

以下が医療費控除を受けるための条件です。

  • 年収(Annual Gross Income)の10%(65歳以上は7.5%)以上払った医療費。
    例えば年収が5万ドルの場合で医療費の支払いが$6,000だった場合、$6,000から対象外の$50,000X0.1=$5,000を引い た$1,000のみが控除の対象となります。さらに定額控除より多くないと意味がないので通常は住宅ローンの利子の支払いなどとセットにして効力を発揮し ます。
  • 本人もしくは扶養家族の医療費であること。
  • バリアフリーなど理由で自宅をリフォームしたコストは控除対象となります。
  • 保険

医療目的のために払った保険料は医療費控除の対象となります。ただし以下の保険は除きます。

  1. 会社が払う健康保険
  2. メディケア
  3. 生命保険
  4. 所得、入院時給付金、車両、手足目などからだのパーツに関する保険料
  5. メディカルセービングアカウント(Archer MSA)

宿泊およびトランスポーテーション

医療目的の宿泊、および移動は医療費控除の対象となります。
宿泊の条件は一人1泊$50です。車を使う場合はガソリン代の実費もしくは23セント/マイルで計算します。

その他の控除対象となる医療費

  1. 合法的な堕胎
  2. カイロ、はり
  3. アルコール、ドラッグ更生プログラム
  4. 救急車
  5. 義手、義足
  6. 車椅子
  7. 歯の治療
  8. 盲導犬
  9. 不妊治療
  10. レーシック
  11. 入れ歯、めがね、コンタクトレンズ
  12. 医師の処方による禁煙プログラム
  13. 精神治療
  14. カツラ
  15. X線

医療費控除の対象とならないもの

  1. ベビーシッター
  2. 外国の処方箋による薬
  3. ビタミン剤
  4. 美容整形、増毛、歯のホワイトニング
  5. 葬儀代
  6. アスレチックジム
  7. 妊婦服
  8. 家族の介護法律に反した治療、薬

子供教育のクレジット

子育てを支援するアメリカ版子供手当てです。タックスリターンに組み込まれ節税効果の高いクレジットです。

 ディペンダントケアクレジット

17才未満の子供一人につき$1,000のクレジット受け取ります。以下の金額以上の収入がある場合はクレジットを受け取ることができません。

ジョイント $110,000

シングル、ヘッドオブハウスホールド、未亡人 $75,000

セパレート $55,000

チャイルドタックスケアクレジット

 

両親が共働きで13才未満の子供を託児施設に預けなければならない場合、託児施設に支払った金額(一人の場合は最高$3,000、二人以上だと最高$6,000)の最大35%(収入によります)のクレジットを受け取ります。

 

エデュケーションクレジット

大学、専門学校等の高等教育に支払った教育費用をクレジットで受け取ります。年収制限あり、Tuition and Fees Deductionといっしょにクレームすることはできません。また、スカラーシップ、グラントで受け取った金額は相殺されます。

ホープクレジット
就学2年間で合計最大$1,800をクレジットで受け取ります。

アメリカンオポチュニティークレジット
上記ホープクレジットの時限改訂版。就学4年間で最大$2,500のクレジットを受け取ります。

ライフタイムラーニングクレジット
教育費用のうち最大$2,000をクレジットで受け取ります。上の二つと違い年数制限はありません。

アリモニー(離婚手当)とチャイルドサポート

離婚の条件に配偶者への金銭的扶助(アリモニー)がある場合、アリモニーを払う方は金額を収入から控除することができます。そしてアリモニーを受け取る方はもらった金額に対して課税されます。もしこれがアリモニーではなくチャイルドサポートして払われる場合、払う方は控除できず、受け取る方は課税されません。

アリモニーの条件

  1. プロパティーで支払われたものではなく現金での支払いであること。
  2. 契約書に指定されたものであること。
  3. チャイルドサポート目的ではないこと。

寄付について

政府が認めた団体に対する寄付は収入から控除することができます。ただし、寄付の控除は項目別控除として扱うので、もし寄付の金額が定額控除以下の場合は 効力を発揮することができません。寄付をした場合、各団体が発行したレシートが必要です。高額寄付の場合は控除可能な金額は最大年収の50%までの制限が あります。

控除可能な寄付

  1. 教会
  2. 連邦、州、地方政府
  3. NPO、学校、病院
  4. 公共の公園(入場料は不可)
  5. サルベーションアーミー、赤十字、グッドウィル、ユナイテッドウェイ、ボーイ・ガールスカウト、ボーイズアンドガールズクラブ
  6. 退役軍人会
  7. 指定団体がスポンサーの学生の面倒を見た場合の生活費
  8. 指定団体でボランティアをした場合の自腹で払った経費
  9. カナダ、イスラエル、メキシコの慈善団体